ゾルターン・コダーイ (Zoltan Kodaly,1882-1967)作曲のハンガリー詩篇 Op.13 (Psalmus Hungaricus Op.13)について、解説とおすすめの名盤レビューをしていきます。最後に楽譜・スコアも挙げてあります。
コダーイは合唱作品の作曲家でもあります。ハンガリー詩篇は今でも代表的作品の一つとして様々なCDに収録されている名曲です。
解説
コダーイのハンガリー詩篇 Op.13について解説します。
コダーイの出世作
コダーイは1923年にテノール独唱、混声合唱、児童合唱と管弦楽のための作品として、『ハンガリー詩篇』を作曲しました。ブダペスト50周年記念祭用に依頼された楽曲です。
この詩篇の歌詞は、コダーイの故郷であるケチュケメートの聖職者ミハーイ・ヴェーグが1561年に「詩篇」第55編を基にハンガリー語で書いた詩です。
初演は1923年、ブダ・ペスト合併50周年記念の演奏会で、エルンスト・フォン・ドホナーニの指揮により行われました。すぐにコダーイの代表作として世界的にも認められるようになりました。
ハンガリー革命
コダーイはハンガリー革命(1919年)に協力し、ハンガリー第一共和国が誕生しました。しかし反革命運動が起き、ハンガリー・ソヴィエト共和国が成立します。さらに、その後、近隣諸国との紛争が起き、最終的にはルーマニア王国に占領されてしまいます。ハンガリーは東ヨーロッパなので、第2次世界大戦前からソヴィエトの影響を受けているんですね。その時の心情を詩篇を使って表したのが『ハンガリー詩篇』です。
地政学的に紛争の多い地域にあるハンガリーはチェコと共に、愛国心に溢れた楽曲が多い国です。コダーイもバルトークも民族主義の作曲家です。
おすすめの名盤レビュー
それでは、コダーイ作曲ハンガリー詩篇 Op.13の名盤をレビューしていきましょう。
アダム・フィッシャー=ハンガリー国立交響楽団
アダム・フィッシャーとハンガリー国立交響楽団による演奏です。ハンガリー人の組み合わせで、録音の音響も良く、ハンガリーらしく明るめに響きます。ただ、この曲の場合は、内容がシリアスなので基本的にシリアスさのある演奏ですが、民族的な味わいが豊かな演奏で、ハンガリーの国民楽派的なこの曲をよく表現しています。
マッケラス=デンマーク放送交響楽団&合唱団
マッケラスとデンマーク国立放送交響楽団&合唱団の演奏です。やはりハンガリーのオーケストラよりもダイナミックさがあり、同時に色彩感や透明感があります。ただ、クールな響きもあって、北の方のオケという雰囲気も出ています。クールで透明な響きなので、シリアスな面が良く出ています。それと同時にマッケラスの『ハンガリー詩篇』への共感と熱気のある指揮もあって、中身は熱い共感に満ちた演奏です。この辺りのバランスが上手くとれていて、他では聴けない名演となっています。
マルケヴィッチ=ソヴィエト国立交響楽団
非常にダイナミックでシャープな演奏で予想外に名演奏です。録音も思ったほど悪くは無く、まあ当時のソヴィエトのオケなので粗さはありますが、思い切りパーカッションが打ち込むのは良い所だと思います。その後、詩篇が合唱で歌われますが、ハンガリーというよりロシア正教の讃美歌のようです。マルケヴィッチはハンガリーとはあまり関連を持っていないので、これはハンガリーの国民楽派的演奏では無く、音楽として共感が深いのだ、と思います。しかしはよく分かりませんが、マルケヴィッチの演奏は凄いリアリティがあって、非常に迫力があります。いずれもこの曲の楽譜には書いてあることです。『ハンガリー詩篇』で他では聴けない表現を沢山聴くことが出来るので、この曲に興味のある方は一度は聴いてみることをお薦めします。
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楽譜・スコア
コダーイ作曲のハンガリー詩篇 Op.13の楽譜・スコアを挙げていきます。
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