なるほど,と思いました。
未完成の曲を補筆して完成させた人物は,ほとんどの場合,無名か,
そこそこ知られた程度の作曲家,もしくは研究家です。
大作曲家が別の大作曲家の未完成曲を補筆することはあり得ない。
補筆者はあくまで脇役に徹しなければならないからです。
すでに作曲家として名をなしている人が補筆の仕事を受けてしまうと,
自分はまだその域に達していない二流の作曲家だと言っているようなもので,
そんなことは絶対できないし,世間もそれを求めない。
万が一にでもそうしてしまうなら,補筆ではなく,合作とみなされ,
また別の作品になってしまう。
なかなかよく考察されていると思いました。

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未完成 角川SSC新書 大作曲家たちの「謎」を読み解く 新書 – 2013/1/10
中川 右介
(著)
未完成の曲には、未完に終わった理由、そして、未完のまま発表された経緯がある。
たとえば、作曲家が亡くなったために未完成となった曲でも、
実際は完成させる時間があったのに、何年もほったらかしにされたために未完に終わったものもある。
なぜ、作曲家は一気に仕上げなかったのだろうか?
未完成の曲には、そうした未完に終わった「作曲当時の事情」がある。
そうした「事情」を知ることは、作品理解の上で欠かせない。
本書は、主に6つの曲につ
たとえば、作曲家が亡くなったために未完成となった曲でも、
実際は完成させる時間があったのに、何年もほったらかしにされたために未完に終わったものもある。
なぜ、作曲家は一気に仕上げなかったのだろうか?
未完成の曲には、そうした未完に終わった「作曲当時の事情」がある。
そうした「事情」を知ることは、作品理解の上で欠かせない。
本書は、主に6つの曲につ
- 本の長さ255ページ
- 言語日本語
- 出版社角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)
- 発売日2013/1/10
- 寸法10.8 x 1.4 x 17.3 cm
- ISBN-104047315931
- ISBN-13978-4047315938
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商品の説明
著者について
中川右介(なかがわ・ゆうすけ)1960年東京都生まれ。『クラシックジャーナル』編集長。膨大な資料を丹念にあたり、埋もれていた史実を紡ぎ合わせながら新たな事実の構築を行う執筆スタイルで人気を博す。著書に『カラヤンとフルトヴェングラー』(幻冬舎)ほか多数。
登録情報
- 出版社 : 角川マガジンズ(角川グループパブリッシング) (2013/1/10)
- 発売日 : 2013/1/10
- 言語 : 日本語
- 新書 : 255ページ
- ISBN-10 : 4047315931
- ISBN-13 : 978-4047315938
- 寸法 : 10.8 x 1.4 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 828,161位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,719位角川新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年10月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もともと知っていたエピソードも多いけど、それらに対して一定の解釈をあたえてくれており楽しめた。オランゴは聞いたことがないのできいてみようと思った。
モーツァルトの時代からゴーストライターがあったというのは初めて知った事で、チョットタイムリーで面白かった
モーツァルトの時代からゴーストライターがあったというのは初めて知った事で、チョットタイムリーで面白かった
2013年2月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シューベルトからショスタコービチまで、古今の有名・無名の未完成曲とそれにまつわる謎やエピソードに迫る。
もっとも有名なシューベルトの未完成交響曲に始まり、ブルックナーの交響曲第9番、マーラーの第10番、ショスタコービチのオペラ「オランゴ」、プッチーニのトゥーランドット、モーツァルトのレクイエムと続く。古い順でもないし、一見、適当な順序にも思えるが、冒頭に名実ともにもっとも有名なシューベルトの未完成交響曲を持ってきつつ、ベートーベン以来の「交響曲第9番の呪い」に囚われたドイツ・オーストリア系の偉大な交響曲作家、すなわち、ブルックナーとマーラーを持ってきて、間にショスタコとプッチーニを挟みつつ、最後はモーツァルトでシメる構成はなかなか考えられている。
そして、例えば、シューベルトは、完成させるだけの時間はあったはずなのに、なぜ未完成を仕上げなかったのか、とか、そもそも誰のために書かれた曲なのか、とか、なんで死後30年も経って「発見」されたのか、など、未だによく分かっていない未完成曲をめぐる謎について、客観的史料をもとにしつつ、大胆な推理を展開する。
また、クラシック音楽ファンの間では半ば常識のように信じられていること、例えば、交響曲作家が9番までしか完成させられないというジンクスに囚われたマーラーが死への恐怖に襲われていたことなども、実は疑わしいことなど、初耳で大変興味深かった。
クラシック音楽ファンならば、楽しめること請け合いの本。
(2013/2/3読了)
もっとも有名なシューベルトの未完成交響曲に始まり、ブルックナーの交響曲第9番、マーラーの第10番、ショスタコービチのオペラ「オランゴ」、プッチーニのトゥーランドット、モーツァルトのレクイエムと続く。古い順でもないし、一見、適当な順序にも思えるが、冒頭に名実ともにもっとも有名なシューベルトの未完成交響曲を持ってきつつ、ベートーベン以来の「交響曲第9番の呪い」に囚われたドイツ・オーストリア系の偉大な交響曲作家、すなわち、ブルックナーとマーラーを持ってきて、間にショスタコとプッチーニを挟みつつ、最後はモーツァルトでシメる構成はなかなか考えられている。
そして、例えば、シューベルトは、完成させるだけの時間はあったはずなのに、なぜ未完成を仕上げなかったのか、とか、そもそも誰のために書かれた曲なのか、とか、なんで死後30年も経って「発見」されたのか、など、未だによく分かっていない未完成曲をめぐる謎について、客観的史料をもとにしつつ、大胆な推理を展開する。
また、クラシック音楽ファンの間では半ば常識のように信じられていること、例えば、交響曲作家が9番までしか完成させられないというジンクスに囚われたマーラーが死への恐怖に襲われていたことなども、実は疑わしいことなど、初耳で大変興味深かった。
クラシック音楽ファンならば、楽しめること請け合いの本。
(2013/2/3読了)
2013年11月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかく曲に関して知りうる事実を集め、信じうるか疑わしきかを検証し、それぞれの曲がなにゆえ未完に終わったかを私たちに提示してくれます。答えは1つではなくてもそれぞれが興味深い内容です。シューベルトの未完成にまつわる映画の内容を単なるフィクションと一笑せずなぜこのような映画が作られたかを考察しており、うさんくさい伝説にも公平な目配りをしているのがすばらしいです。音楽を聴くには知識は邪魔との考え方もありますが、この本に書かれた事は知識によって失われるものを補って余りある付加価値を私たちに与えてくれます。
2015年7月22日に日本でレビュー済み
シューベルトの交響曲をはじめ未完成作品がなぜ未完成のままとなったかに迫る論だが、なかでもシューベルトの交響曲第8番論が秀逸だ。著者の推論では、理由は営業面での絶望。シューベルトの「未完成」は、第2楽章までで30分近い。4楽章を完成させた暁には1時間近い大曲になるが、まだベートーヴェンの交響曲第9番が作られていない時代だ。せいぜい50分近い交響曲第3番「英雄」があるのみだ。たいていの交響曲は30分程度なのだ。そんななか、シューベルトがいきなり1時間近い大交響曲を完成させても、誰も演奏してくれないだろう。そのため、シューベルトは作曲を途中で断念してしまったというのが、著者の推理。じつに卓抜だと思う。
著者の推理では、ブルックナーの交響曲第9番が「未完成」扱いされているのももまた営業面での理由からだ。それは、ブルックナーではなく、レコード会社側の事情でもある。じつのところ、ブルックナーの交響曲第9番の第4楽章は再現され、CDにもなっているが、いまだ第3楽章までの未完成版が多い。というのも、3楽章までで終われば、CD1枚におさまる。4楽章まで入れると、かえっておさまりが悪くなるという営業上の理由のようだ。これまた、なるほどと思う。
他にも、未完成作品に対して、著者独自の斬り込みが多々あり、退屈しない。未完成になった理由はさまざまだが、営業・経済という角度からも迫る発想はなかなか思いつかない。
著者の推理では、ブルックナーの交響曲第9番が「未完成」扱いされているのももまた営業面での理由からだ。それは、ブルックナーではなく、レコード会社側の事情でもある。じつのところ、ブルックナーの交響曲第9番の第4楽章は再現され、CDにもなっているが、いまだ第3楽章までの未完成版が多い。というのも、3楽章までで終われば、CD1枚におさまる。4楽章まで入れると、かえっておさまりが悪くなるという営業上の理由のようだ。これまた、なるほどと思う。
他にも、未完成作品に対して、著者独自の斬り込みが多々あり、退屈しない。未完成になった理由はさまざまだが、営業・経済という角度からも迫る発想はなかなか思いつかない。
2013年1月20日に日本でレビュー済み
この本、よくある、クラシックの読み物と切り口が違い、「未完成」作品たちの謎の詳解をされていて大変勉強になりました。各章の成り方がユニフォームでなくて、それぞれの順番やコラムの入り方もよく練られたものだと感じます。最初、異質なショスタコ、と思いましたが(転、の章なのですね)、あとに続くプッチーニとうまく政治と音楽、でつながって行きます。相変わらず、中川さんの驚くべき資料の読み込みと、通説にとらわれない解析、ご自身での再構築の上に、タイムマシンでちょっと調べてこられた様な、シャープな語りで、あっという間にあとがきでした。星はもちろん未完成の4つです。
2013年3月24日に日本でレビュー済み
モーツァルトのレクイエムは、モーツァルトが亡くなったので
完成されなかったが、シューベルトの未完成交響曲は、その後も
シューベルトが生き続けたのに未完成で終わったのはなぜか。
著者は多くの文献にあたって推理する。なかなか面白い。なるほど
そうなのかも知れない。
プッチーニのトゥーランドットの章では、他の章と異なり、当時
の政治情勢が詳しく書かれているが、初演を指揮したトスカニーニと
ムッソリーニの確執があったことが詳しく述べられており、興味深か
った。
ベート―ヴェン以後の交響曲の作曲家たちが「第九」の恐怖に怯え
ていたという話はあちこちで読んだことがあったが、ガセネタだった
のか・・・。やっぱり音楽評論家などの言うことは信用できないのだ。
完成されなかったが、シューベルトの未完成交響曲は、その後も
シューベルトが生き続けたのに未完成で終わったのはなぜか。
著者は多くの文献にあたって推理する。なかなか面白い。なるほど
そうなのかも知れない。
プッチーニのトゥーランドットの章では、他の章と異なり、当時
の政治情勢が詳しく書かれているが、初演を指揮したトスカニーニと
ムッソリーニの確執があったことが詳しく述べられており、興味深か
った。
ベート―ヴェン以後の交響曲の作曲家たちが「第九」の恐怖に怯え
ていたという話はあちこちで読んだことがあったが、ガセネタだった
のか・・・。やっぱり音楽評論家などの言うことは信用できないのだ。