若い時にいわゆる名門オーケストラのCDを買って、つまらない曲だと感じて以来、この二曲は持っていなかった。今回、ブリュッヘンで聴いてハイドンの素晴らしさを再認識した。軽快で音楽が生き生きしている。しかも、小編成なため内声部の動きまで良く分かり、木管古楽器群の色彩感が実に鮮やかである。推進力があり、よく歌い、有名な「時計」の第二楽章などウィットに富んでいて、強弱の持って行き方が絶妙である。この二曲の古楽器演奏による名盤と言って良いと思う。
ハイドンの他の交響曲はプレヴィン指揮ウィーンフィルで持っているものもある。比較すると、小回りの効いた軽快さ、生命感あふれる推進力、木管楽器の鮮やかさではブリュッヘン、弦楽器中心の柔らかい響き、しっとりとした落ち着き、のびのびした歌心ではプレヴィンに分があると感じる。古楽器と現代楽器の両方が手軽に聴き比べられる良い時代になったものである。