シベリウス : 交響曲全集、クレルヴォ交響曲、管弦楽作品集(製品番号 : 0190295869151)
パーヴォ・ベルグルンド指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団、他
1984〜87年、デジタル録音
2005年盤では2つに分かれていたものが、カンタータ『故郷』と火の起源、クレルヴォ交響曲を加えて、1つに纏まって再販になった
値段から言っても、非情にコストパフォーマンスが良い
このヘルシンキ・フィルとの全集は、ボーンマス交響楽団と、ヨーロッパ室内管との全集の中間地点に当たる録音
演奏も、丁度その通過点に当たる内容であり、言い方を変えればそのどちらの良さも含んでいると思う
ボーンマス響との演奏は、ベルグルンド渾身の力作。。思いの丈を注ぎ込んだ熱意と迫力に満ちており、このヘルシンキ・フィルとの演奏では、そこにある種の余裕と洗練を纏わせている
デジタル録音という強みもある
ヨーロッパ室内管では、楽団員の力量と指揮者との協調性が、更に(冷ややかに聴こえる程の)アンサンブルの精妙さを加えた。。。
ただ、この三種の全集の内どれか1つを選べと言われれば、それぞれの良さを持った秀逸さで、逆に言えばどれ1つを持っていたとしても、ベルグルンドのシベリウスは芯の部分で共通しており、充分に把握できると思う
洗練、中庸な表現、デジタルによる高音質、ボーンマス響で聴かれた大らかさ等、全てをバランス良く備えているし、クレルボ交響曲を含んでいるということもこの全集の強みになっている。。。
youtubeで紹介されているベルグルンドのシベリウス交響曲は、このヘルシンキ盤が多い。。。
厚手のマットな紙ボックスに5枚、1枚1枚が単体発売時のイラスト入り紙ジャケットで、それなりの高級感もある
ただ、落下防止のためなのか、紙ジャケがキツめでCDが取り出しにくいので、ティッシュで端を摘むなど、多少の工夫が必要。。。
5ミリケースに移し替えておくのも良いと思う。。。
ボーンマス響(2013年盤)によるものと、ヨーロッパ室内管(2012年タワーレコード盤)の全集のレビューもしてるので、よろしければご参照の程^^
Sibelius: The Symphonies, Kullervo, Finlandia, Tapiola, Oceanides
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商品の説明
Paavo Berglund (1929-2012) recorded the complete symphonies of his great compatriot Sibelius no fewer than three times. This set, central in every respect, was made in the 1980s with the Helsinki Philharmonic and includes the early Kullervo Symphony and several tone poems. Berglund, a former music director of the Helsinki Philharmonic, was renowned internationally as a master interpreter of Sibelius’s extraordinary music. In Gramophone’s words, he conducted it “with an unhurried, controlled inevitability that allows the music to unfold in its own time without any loss of tension or excitement”.
登録情報
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 製品サイズ : 13.31 x 13.21 x 2.21 cm; 178.04 g
- メーカー : Warner Classics
- EAN : 0190295869151
- レーベル : Warner Classics
- ASIN : B07178LF6Z
- ディスク枚数 : 5
- Amazon 売れ筋ランキング: - 74,513位ミュージック (ミュージックの売れ筋ランキングを見る)
- - 3,601位交響曲・管弦楽曲・協奏曲
- - 16,335位輸入盤
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年12月2日に日本でレビュー済み
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2020年6月17日に日本でレビュー済み
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とにかく、お値打ち
2019年12月29日に日本でレビュー済み
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ベルグルンドはなぜ3回もこの作曲家の交響曲を録音したいと考えたのだろう。そこが疑問だった。このヘルシンキ・フィルとの演奏を聴いて、その答えがわかったような気がした。
もともと、シベリウスの交響曲は、第1番と第2番こそ伝統を引き継ぐ様式だが、第3番あたりから、これをぶっ壊し始める。第4番と第5番の試行錯誤を繰り返した挙句、ようやく第6番、第7番と交響詩のような作風に至る。クレルボのような、テーマを持った音楽を「もっと単刀直入に」表現したかったのではあるまいか。その兆候は、第1番にすでに表れている。だから、「厄介」なのである。第1番に現れた交響詩的な作風を志向する作者は、第3番で、大胆にも実験を始めてしまった。そして苦しんだ結果、第6番で、その答えを表す。第1番と第6番は、全然違う音楽であり、しかも第1番で「試し」たような主題をひきづって「異なる音楽」として現れるのだから、たまらない。演奏者が苦心するのもわかる。まして、全集という「続けて聞く」かもしれないレコードづくりともなれは、この変遷を無視するわけにはいかなかったであろう。
このヘルシンキ・フィルの演奏は、前半に重きを置いたものだ。「北欧」的な、優雅で美しい旋律を聞きたい人には、このヘルシンキ盤がうってつけだ。ボーマス響の演奏がトップとい人もいるが、実験の意味をボヤ化した第3番では、かえって、つまらなくなってしまった。少なくても、鮮烈さの点でこのヘルシンキ・フィルをお勧めしたい。
なお、録音レベルは、やや低めだから、ボリウムを高くして聞かないといけないから、次にレベルの普通のCDを聞くときは、要注意だ。
もともと、シベリウスの交響曲は、第1番と第2番こそ伝統を引き継ぐ様式だが、第3番あたりから、これをぶっ壊し始める。第4番と第5番の試行錯誤を繰り返した挙句、ようやく第6番、第7番と交響詩のような作風に至る。クレルボのような、テーマを持った音楽を「もっと単刀直入に」表現したかったのではあるまいか。その兆候は、第1番にすでに表れている。だから、「厄介」なのである。第1番に現れた交響詩的な作風を志向する作者は、第3番で、大胆にも実験を始めてしまった。そして苦しんだ結果、第6番で、その答えを表す。第1番と第6番は、全然違う音楽であり、しかも第1番で「試し」たような主題をひきづって「異なる音楽」として現れるのだから、たまらない。演奏者が苦心するのもわかる。まして、全集という「続けて聞く」かもしれないレコードづくりともなれは、この変遷を無視するわけにはいかなかったであろう。
このヘルシンキ・フィルの演奏は、前半に重きを置いたものだ。「北欧」的な、優雅で美しい旋律を聞きたい人には、このヘルシンキ盤がうってつけだ。ボーマス響の演奏がトップとい人もいるが、実験の意味をボヤ化した第3番では、かえって、つまらなくなってしまった。少なくても、鮮烈さの点でこのヘルシンキ・フィルをお勧めしたい。
なお、録音レベルは、やや低めだから、ボリウムを高くして聞かないといけないから、次にレベルの普通のCDを聞くときは、要注意だ。
2017年11月30日に日本でレビュー済み
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各パーツが念入りに設計されていて丁寧に組み立てられているけれども、最後の磨き(仕上げ)がよくできていない感じ。車の運転にたとえれば、赤信号に度々引っ掛かって乗り心地が悪い感じ。(その点、C・デイヴィスなど改めてうまいと思う。)
ところが、濃厚で豊かな味わいがあって不思議と病み付きになってしまう。なにか滋養になるような感じの演奏だ。結局、名盤ということだろう。
音も豊かで悪くない。オリジナル・ジャケット・デザインの紙ケース入り。
ところが、濃厚で豊かな味わいがあって不思議と病み付きになってしまう。なにか滋養になるような感じの演奏だ。結局、名盤ということだろう。
音も豊かで悪くない。オリジナル・ジャケット・デザインの紙ケース入り。
2018年8月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
シベリウスの交響曲を一通り聴きたかったため、購入。とてもいい音源でした。
2017年9月27日に日本でレビュー済み
パーヴォ・ベルグルンド(Paavo Berglund 1929-2012)指揮、ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団によるシベリウス(Jean Sibelius 1865-1957)の交響曲全集。EMI原盤であるが、Warnerからリマスターの上、廉価なBox-setとなって再発売されたもの。収録曲と録音年は以下の通り。
【CD1】
1) 交響曲 第1番 ホ短調 op.39 1986年録音
2) 交響曲 第2番 ニ長調 op.43 1986年録音
【CD2】
3) 交響曲 第3番 ハ長調 op.52 1987年録音
4) 交響曲 第4番 イ短調 op.63 1984年録音
【CD3】
5) 交響曲 第5番 変ホ長調 op.82 1986年録音
6) 交響曲 第6番 ニ長調 op.104 1986年録音
【CD4】
7) 交響曲 第7番 ハ長調 op.105 1984年録音
8) 交響詩「大洋の女神」 op.73 1986年録音
9) 交響詩「フィンランディア」 op.26 1986年録音
10) 交響詩「タピオラ」 op.112 1987年録音
11) カンタータ「故郷」 op.92 1985年録音
12) バリトン独唱、合唱と管弦楽のための「火の起源」 op.32 1985年録音
【CD5】
13) クレルヴォ交響曲 ホ短調 op.7 1985年録音
11-13)の合唱は、ソ連・ロシア国立アカデミー・エストニア男声合唱団、ヘルシンキ大学合唱団、ヘルシンキ大学男声合唱団。12)と13)とバリトン独唱はヨルマ・ヒュンニネン(Jorma Hynninen 1941-)、13)のメゾソプラノ独唱はエーヴァ=リサ・ナウマネン(Eeva-Liisa Naumanen 1952-)。
なお、EMIの全集では、1982年にフィルハーモニア管弦楽団と録音した「トゥオネラの白鳥」「レミンカイネンの帰郷」「悲しきワルツ」が収録されていたのだが、当盤では割愛されている。また、EMIの全集では、やはり1982年にフィルハーモニア管弦楽団と録音した「フィンランディア」「タピオラ」が収録されていたのだが、当盤ではそれぞれ1986,87年に録音したヘルシンキ・フィルとの音源に差し替えられており、「ベルグルンドとヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団によるシベリウス録音」というコンセプトで統一した体裁となっている。
さて、ベルグルンドは3度に渡ってシベリウスの交響曲全集を手掛けている。
1) ボーンマス交響楽団(1972-77年)
2) ヘルシンキ・フィル(1984-1987年)
3) ヨーロッパ室内管弦楽団(1995-97年)
当盤はその2度目のものとなる。
私個人的には、ベルグルンドのシベリウスとしては、やや粗いところを残しながらも熱さの滾るボーンマス交響楽団の全集をもっとも気に入っているのだけれど、もちろんヘルシンキとの全集も見事な内容だ。人は、この全集からどのような印象を受けるだろうか。よく「北欧風」という形容があって、その言葉には、ある程度クラシックフアンが共有する音のイメージ像があるかもしれない。当盤はどうだろうか?。私はこのベルグルンドのシベリウスにそれほど「北欧風」というイメージを強く抱かない。そのイメージが合うのは、むしろヨーロッパ室内管弦楽団との3回目の録音の方ではないか。むしろ当全集から、私は中央ヨーロッパ的な、中音域の厚い、落ち着いたシンフォニックな豊かさを感じる。
ベルグルンドは基本的に穏当なテンポを取る。テンポの上での明瞭な特徴はなく、全般に落ち着いたものと言える。その落ち着いたテンポをベースに、すべての音符がきちんと聴こえるような間合いを守り、中庸の美を貫いた音響を構築している。その徹底ぶりが根幹にあって、細やかな描写が生き生きと色づいてくる。管弦楽の響きも全般に暖かいマイルドさがあって、シベリウスの演奏としては、色合い豊かでロマンティックなものと感じる。そのことが、多くの人々にとって、「近づき易さ」のイメージとして伝わるに違いない。管弦楽の合奏音によって帰結を迎えるような部分では、音の間延びを警戒し、締まった音長で締めくくる傾向があるのも、私にはヨーロッパ本流のスタイルに楽曲を組み込んだためと思える。
そう考えると、当全集は、シベリウスを一部の地域のみで人気のある作曲家としてふるまうのではなく、インターナショナルな大作曲家として扱うというメッセージ性とともに聴くことが出来るものではないだろうか。そこでは、人間的な情感が多様にめぐっていて、いわゆるモノローグ的な、風景描写的なものに収まってしまうような響きとはなっていない。第5番の木管の響きにこれほど人間味を感じさせる演奏は少ないだろう。それが、私には、当録音の第一の特徴であると思える。あの難渋な交響曲第4番、あるいはタピオラが、これほど様々な人間的な情緒を伴って響くのは、むしろ珍しいのではないでしょうか。だからこそ、私はこの演奏を「北欧的」と形容するより、「ヨーロッパ王道的」シベリウス、と表現したい。そのようなシベリウスは、他の録音とは少し違った角度で、聴き手の気持ちに働きかけるだろう。当録音をシベリウスの代表的録音と推す人も多いのは、そのような作用に感応したからではないだろうか。そういった点で、当録音は名演であるだろうし、同時にシベリウスの解釈として、ある意味でユニークさも併せ持ったものだと私は思う。
もう一点。特筆したいのはリマスターの効果である。もとのEMI原盤では、音の空間域が狭く感じられ、どの楽器も互いに近いところで鳴っているように聴こえ、そのためにいまひとつ雰囲気がきちんと伝わらないところがあったのだが、ワーナーのリマスターにより、楽器間の距離感が的確になった印象で、静寂もきちんとした深度のある静寂として伝わってくる。各音の立ち上がりの美しさも鮮明になっており、当全集の価値を一層高めたと言えるだろう。
【CD1】
1) 交響曲 第1番 ホ短調 op.39 1986年録音
2) 交響曲 第2番 ニ長調 op.43 1986年録音
【CD2】
3) 交響曲 第3番 ハ長調 op.52 1987年録音
4) 交響曲 第4番 イ短調 op.63 1984年録音
【CD3】
5) 交響曲 第5番 変ホ長調 op.82 1986年録音
6) 交響曲 第6番 ニ長調 op.104 1986年録音
【CD4】
7) 交響曲 第7番 ハ長調 op.105 1984年録音
8) 交響詩「大洋の女神」 op.73 1986年録音
9) 交響詩「フィンランディア」 op.26 1986年録音
10) 交響詩「タピオラ」 op.112 1987年録音
11) カンタータ「故郷」 op.92 1985年録音
12) バリトン独唱、合唱と管弦楽のための「火の起源」 op.32 1985年録音
【CD5】
13) クレルヴォ交響曲 ホ短調 op.7 1985年録音
11-13)の合唱は、ソ連・ロシア国立アカデミー・エストニア男声合唱団、ヘルシンキ大学合唱団、ヘルシンキ大学男声合唱団。12)と13)とバリトン独唱はヨルマ・ヒュンニネン(Jorma Hynninen 1941-)、13)のメゾソプラノ独唱はエーヴァ=リサ・ナウマネン(Eeva-Liisa Naumanen 1952-)。
なお、EMIの全集では、1982年にフィルハーモニア管弦楽団と録音した「トゥオネラの白鳥」「レミンカイネンの帰郷」「悲しきワルツ」が収録されていたのだが、当盤では割愛されている。また、EMIの全集では、やはり1982年にフィルハーモニア管弦楽団と録音した「フィンランディア」「タピオラ」が収録されていたのだが、当盤ではそれぞれ1986,87年に録音したヘルシンキ・フィルとの音源に差し替えられており、「ベルグルンドとヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団によるシベリウス録音」というコンセプトで統一した体裁となっている。
さて、ベルグルンドは3度に渡ってシベリウスの交響曲全集を手掛けている。
1) ボーンマス交響楽団(1972-77年)
2) ヘルシンキ・フィル(1984-1987年)
3) ヨーロッパ室内管弦楽団(1995-97年)
当盤はその2度目のものとなる。
私個人的には、ベルグルンドのシベリウスとしては、やや粗いところを残しながらも熱さの滾るボーンマス交響楽団の全集をもっとも気に入っているのだけれど、もちろんヘルシンキとの全集も見事な内容だ。人は、この全集からどのような印象を受けるだろうか。よく「北欧風」という形容があって、その言葉には、ある程度クラシックフアンが共有する音のイメージ像があるかもしれない。当盤はどうだろうか?。私はこのベルグルンドのシベリウスにそれほど「北欧風」というイメージを強く抱かない。そのイメージが合うのは、むしろヨーロッパ室内管弦楽団との3回目の録音の方ではないか。むしろ当全集から、私は中央ヨーロッパ的な、中音域の厚い、落ち着いたシンフォニックな豊かさを感じる。
ベルグルンドは基本的に穏当なテンポを取る。テンポの上での明瞭な特徴はなく、全般に落ち着いたものと言える。その落ち着いたテンポをベースに、すべての音符がきちんと聴こえるような間合いを守り、中庸の美を貫いた音響を構築している。その徹底ぶりが根幹にあって、細やかな描写が生き生きと色づいてくる。管弦楽の響きも全般に暖かいマイルドさがあって、シベリウスの演奏としては、色合い豊かでロマンティックなものと感じる。そのことが、多くの人々にとって、「近づき易さ」のイメージとして伝わるに違いない。管弦楽の合奏音によって帰結を迎えるような部分では、音の間延びを警戒し、締まった音長で締めくくる傾向があるのも、私にはヨーロッパ本流のスタイルに楽曲を組み込んだためと思える。
そう考えると、当全集は、シベリウスを一部の地域のみで人気のある作曲家としてふるまうのではなく、インターナショナルな大作曲家として扱うというメッセージ性とともに聴くことが出来るものではないだろうか。そこでは、人間的な情感が多様にめぐっていて、いわゆるモノローグ的な、風景描写的なものに収まってしまうような響きとはなっていない。第5番の木管の響きにこれほど人間味を感じさせる演奏は少ないだろう。それが、私には、当録音の第一の特徴であると思える。あの難渋な交響曲第4番、あるいはタピオラが、これほど様々な人間的な情緒を伴って響くのは、むしろ珍しいのではないでしょうか。だからこそ、私はこの演奏を「北欧的」と形容するより、「ヨーロッパ王道的」シベリウス、と表現したい。そのようなシベリウスは、他の録音とは少し違った角度で、聴き手の気持ちに働きかけるだろう。当録音をシベリウスの代表的録音と推す人も多いのは、そのような作用に感応したからではないだろうか。そういった点で、当録音は名演であるだろうし、同時にシベリウスの解釈として、ある意味でユニークさも併せ持ったものだと私は思う。
もう一点。特筆したいのはリマスターの効果である。もとのEMI原盤では、音の空間域が狭く感じられ、どの楽器も互いに近いところで鳴っているように聴こえ、そのためにいまひとつ雰囲気がきちんと伝わらないところがあったのだが、ワーナーのリマスターにより、楽器間の距離感が的確になった印象で、静寂もきちんとした深度のある静寂として伝わってくる。各音の立ち上がりの美しさも鮮明になっており、当全集の価値を一層高めたと言えるだろう。
2019年6月24日に日本でレビュー済み
シベリウスの交響曲全集は、これがあれば他は必要ない。
シベリウスがベートーヴェン以降、最大のシンフォニストの一人であることを、ベルグルンドとヘルシンキ・フィルは、最も純粋なかたちで表しているからである。
シベリウスの交響曲は、ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチといった偉大な交響曲作家の一連の作品とは、全く異なるものである。彼らの音楽が、巨大な音響で構築され、50分を越える長大な作品が多いのに対し、シベリウスは初期の二曲を除き30分程度と交響曲としては演奏時間が短く、室内楽的な書法が目立つ。
極めて内省的で、ひとりごとをつぶやくような部分が連続するため、なかなかその良さが分かりにくい。
しかし、4番が「余分な音符は存在しない」と言われたり、6番のように極めて純度の高い音楽があったりと、規模が小さいながらも凝縮された密度の濃さが独特である。
ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチ、三者三様で独自の魅力と個性があるが、しかし、シベリウスは、これらの偉大なシンフォニストの音楽を聴く耳とは違う聴き方が求められるような気がする。三人の交響曲が外に向かって力を発散させて行くのに対し、シベリウスの交響曲はひたすら内面へと向かって行く音楽だからである。
こうしたシベリウスの音楽の特性を、最も端的に示したものが、このベルグルンド・ヘルシンキフィルの全集である。
ベルグルンドは三度もシベリウス交響曲全集を録音しているが、このヘルシンキフィルとの二度目の全集において、シベリウスの音楽の純度の高さが、最も極められていると思う。
シベリウスがベートーヴェン以降、最大のシンフォニストの一人であることを、ベルグルンドとヘルシンキ・フィルは、最も純粋なかたちで表しているからである。
シベリウスの交響曲は、ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチといった偉大な交響曲作家の一連の作品とは、全く異なるものである。彼らの音楽が、巨大な音響で構築され、50分を越える長大な作品が多いのに対し、シベリウスは初期の二曲を除き30分程度と交響曲としては演奏時間が短く、室内楽的な書法が目立つ。
極めて内省的で、ひとりごとをつぶやくような部分が連続するため、なかなかその良さが分かりにくい。
しかし、4番が「余分な音符は存在しない」と言われたり、6番のように極めて純度の高い音楽があったりと、規模が小さいながらも凝縮された密度の濃さが独特である。
ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチ、三者三様で独自の魅力と個性があるが、しかし、シベリウスは、これらの偉大なシンフォニストの音楽を聴く耳とは違う聴き方が求められるような気がする。三人の交響曲が外に向かって力を発散させて行くのに対し、シベリウスの交響曲はひたすら内面へと向かって行く音楽だからである。
こうしたシベリウスの音楽の特性を、最も端的に示したものが、このベルグルンド・ヘルシンキフィルの全集である。
ベルグルンドは三度もシベリウス交響曲全集を録音しているが、このヘルシンキフィルとの二度目の全集において、シベリウスの音楽の純度の高さが、最も極められていると思う。
2019年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
フィンランドの交響楽団と地元の指揮者による素朴で力強い演奏に満足。
他の国からのトップレビュー

Carlos Barbé
5つ星のうち5.0
Ha llegado puntual y en perfecto estado
2023年8月9日にスペインでレビュー済みAmazonで購入
Es la mejor versión de las sinfonías de sibelius que conozco.

trio prime
5つ星のうち5.0
Un bel cofanetto...
2023年5月26日にイタリアでレビュー済みAmazonで購入
...con ottima musica. Grafica minimale ma elegante. E "Kullervo" non si trova ovunque....

Boucheroux
5つ星のうち5.0
Vu de Finlande
2021年6月14日にフランスでレビュー済みAmazonで購入
Berg Lund est intéressant car il ressent bien l’âme finlandaise, le mystère des immensités froides et la chaleur des cœurs. Tout le peuple finlandais est dans ces symphonies.

DROZ
5つ星のうち5.0
Ein Muss für jeden Klassikfreund.
2020年8月28日にドイツでレビュー済みAmazonで購入
Einer der bedeutendsten Symphoniezyklen überhaupt,überzeugend eingespielt.
Umwerfend die frühe "Kullervo" -Symphonie - ein vergessenes Meisterwerk!
Umwerfend die frühe "Kullervo" -Symphonie - ein vergessenes Meisterwerk!

Autonomeus
5つ星のうち5.0
Berglund leads an essential all-Finnish Sibelius cycle
2018年4月28日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
This is a great reissue of recordings from 1984-1988, all in Helsinki but Symphonies No. 4 and 7 recorded in London. The Helsinki Philharmonic was Sibelius's orchestra. Paavo Berglund (1929-2012), a Finn, recorded three complete cyles of Sibelius symphonies -- this was the second -- and is widely acclaimed as a master Sibelian.
This cycle can therefore be recommended as a standard interpretation. Berglund was key in creating a Nordic school of Sibelius, cooler, more restrained and classical than the earlier tradition of Karajan, Bernstein, and Baribolli which was more passionate and Romantic -- more hot-blooded. There are those who cut their teeth on one of those earlier interpretations and think they are unsurpassed. I on the other hand believe there is more than One Correct Way to play Sibelius. By all means hear Karajan's Sibelius with Berlin , an outstanding representative of what might be called the Old School. But for a Finnish Sibelius, a more Apollonian Sibelius, who after all did consciously set out in a more classical direction than Mahler, this Berglund/Helsinki cycle is what you need to hear. Leif Segerstam recorded another Sibelius cycle with the HPO twenty years later, and that is a fascinating comparison. His approach is more analytical, and while quite fine, I would start with Berglund.
The 5-disc set also includes an excellent recording of the early (1892) symphonic poem "Kullervo," with soprano, baritone, and chorus, as well as three tone poems and two cantatas.
*** *** ***
The Warner Classics box is superbly done, a Brilliant-style box with no jewel cases. Each disc comes in a cardboard sleeve with color reproductions of 1890s paintings by Akseli Gallen-Kallela depicting scenes from Finnish mythology. The 20-page booklet includes essays in English, German, and French.
This cycle can therefore be recommended as a standard interpretation. Berglund was key in creating a Nordic school of Sibelius, cooler, more restrained and classical than the earlier tradition of Karajan, Bernstein, and Baribolli which was more passionate and Romantic -- more hot-blooded. There are those who cut their teeth on one of those earlier interpretations and think they are unsurpassed. I on the other hand believe there is more than One Correct Way to play Sibelius. By all means hear Karajan's Sibelius with Berlin , an outstanding representative of what might be called the Old School. But for a Finnish Sibelius, a more Apollonian Sibelius, who after all did consciously set out in a more classical direction than Mahler, this Berglund/Helsinki cycle is what you need to hear. Leif Segerstam recorded another Sibelius cycle with the HPO twenty years later, and that is a fascinating comparison. His approach is more analytical, and while quite fine, I would start with Berglund.
The 5-disc set also includes an excellent recording of the early (1892) symphonic poem "Kullervo," with soprano, baritone, and chorus, as well as three tone poems and two cantatas.
*** *** ***
The Warner Classics box is superbly done, a Brilliant-style box with no jewel cases. Each disc comes in a cardboard sleeve with color reproductions of 1890s paintings by Akseli Gallen-Kallela depicting scenes from Finnish mythology. The 20-page booklet includes essays in English, German, and French.