私は、過剰で大袈裟な思い入れたっぷりの、”タメや、突っ込み"が、好きではない。
そこへ小澤征爾さんが現れた。彼は、余計な「大袈裟さ」を、ばっさり切り捨てている。
そして、ここぞというところは、的確に心に響かせる小澤流の独特の指揮。
この深い感動は、なんだろう。
小澤征爾さんの、とあるCDを聴かせてもってから、私はいっぺんで小澤征爾さんが好きになった。
過去、ブラームス第1番は、小澤征爾さんの指揮、ボストン交響楽団演奏の、1977年の収録が発売されている。若い若い小澤さんの指揮とボストンの音が聴ける。
ブラームス:交響曲第1番
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若々しさに溢れているが、それでも今までの指揮者では、決してやらなかったことが、
時折見られ、おっ!!と思う。ここで、既に小澤さんのスタイルが完成しつつあったのだろう。
そして時は流れ、今回のブラームス第1番。小澤さんらしさを失わず、さらに、奥深さを増した。
私の心の、聴きたい楽曲の指揮は彼しかいないと思った。
サイトウ・キネンは非常に鋭さが、気持ちよい。
そうか、小澤さんは、これを目指していたのか......。
熟成に年月を重ねたワインの如く至高の音。
そして、衝撃の第4章。..............泣いた。そして降臨した衝撃は、
もはや"奇跡"だけでは、語れない。もう二度と聴けない音。
おそらく、当初、CD化の予定はなく、記録という目的だけに、
天井マイクだけの録音だと思われる。
しかし、あまりの指揮演奏の素晴らしさに、CD化を決めたのだと思う。
クラシックで、泣いたのは、彼の指揮が始めて。
幸福の涙をくれたのは、彼だけだった。
このCDを買って損はない。