「ロマンティック」は親しみやすいが深みにかけるが、この1稿に関しては全く違う。親しみやすさはほとんど無い代わりに難解な複雑さに満ちている。この後のブルックナーの改訂作業が、世間に対する妥協に他ならなかったということがこれでもわかる。個人的にはこれから4番は第1稿を好んで聴くことになると思う。
既に存在していたインバルによる第1稿は、第2稿のイメージに近い演奏を目指していたようだ。そうすることによって結果的に第1稿と第2稿の違いが自然に現れるようにしている感じだ。第1稿の難解な複雑さもうまくカモフラージュして表にでないようにしているのかもしれない。しかし、第1稿が第2稿の亜流に聴こえてしまう結果にもなる。
それに比して、ヤングの場合は第1稿は第2稿とはまったく別の曲だというアプローチで、やっと第1稿がが第2稿の亜流ではない、強力な曲であるという事があらわになった気がする。