よしむら様、
私も中坊の頃、このモントゥー&パリ音楽院管(K15C 8043)を聴きましたが肌に合わず、
ブレーズ盤(クリーブランドの方)を聴いていました。
よしむらさんから御指摘があったので、このモントゥー盤を聴き直してみたのですが、
やっぱり「ユルい」と思います(笑
「ペトルーシュカ」からして、呼ばんでもいいジュリアス・カッチェン(余談ですが、
私はラフマニノフはカッチェンの音盤を良く聴いていました)を招いたはいいものの、
オケに気圧されて萎縮してしまい、アンセルメ盤のようにピアノの大活躍は望めません
でした。
で本題「春の祭典」ですが、第2部終末の「祖先の儀式」でタンバリンに持ち換えた奏者
が落ちてしまい、続く「生け贄の踊り」の練習番号【173】の一小節前の十六分の二拍子
の頭で、バスドラムに復帰出来ないままにラストスパートを迎えているんです。活躍して
いるのは二人のティンパニ奏者です。
「春の祭典」自体その変拍子のリズム構成と莫大なオーケストレーションから、20世紀の
作品で一番難しい音楽だと思いますが、それに加えて「版」の問題も未解決に成っている
のにも問題があります。
故・岩城宏之は1947年版を使っていらっしゃいましたが、一度メルボルンで公開録音中に
「落ちて」しまい、オケが止まってしまったという今では伝説の悲劇がありました。これは
岩城さんに多く責任があると思われます。どうしてかといいますとなんとマエストロ、
「暗譜」で振るのが常だったのですね。1947年版をフォトコピーのように網膜に焼き付け
頭の中でページを捲っていたのだそうですが、1947年版には、打楽器以外にも(極端な
例を挙げると第7・8ホルン等)間違いが散見されるからなのです。
私ごとで恐縮なのですが、BBC・マンチェスター管に呼ばれて振った時、打楽器のジェーム
ズ・ウッドが自分達のパートを全部、四分の四拍子に書き換えてしまって呉れていて、
とっても気持ちが良かった今では遠い昔の想い出があります。
おっとモントゥーです。よしむらさんの仰るように「初演者」だけに「腐っても鯛」じゃ
なくて、このDECCA盤の屈辱を跳ね返すどころか「初演者」の面目躍如を堂々と聴かせて
余りあるのが、1951年1月28日、シャルル・ミュンシュのボストン響に客演しての録音:
RCA 09026-61898-2 です。スコアは 1913/21年版を使ってあると表記してあります。尚、
LPレコード:RCA VICTOR LM-2085 は、オケの表記がパリ音楽院管となってありますが、
正しくはボストン交響楽団。
NEW ORTHOPHONIC だから村上春樹のシステムじゃ上手く再生出来ないだろうね。