アバドがとりわけ好んだ作曲家の一人にムソルグスキーがいるが、なかでもアバドの全盛期に収録されたこのアルバムは秀逸な名演として記憶に残るもの。
後に、世紀の大指揮者からヤンの後任として、世界最高のオーケストラであるベルリンフィルの常任指揮者となり、晩年には世界的な名手が集うルツェルン祝祭管弦楽団も振ったアバドだが、私は、ロンドン交響楽団の主席指揮者だった時期がアバドの全盛期だったと確信する。
展覧会の絵もロッシーニの序曲集も、満を辞して再録したものの、結局は絶頂期の名演を超えることは出来なかった。
ロンドン交響楽団とのムソルグスキー、ロッシーニ、ストラビンスキー、プロコフィエフを聴けば、誰しもアバドがどれほど才気溢れる逸材だったかが理解するところとなるだろう。