ヤンソンスとサンクト・ペテルスブルク・フィルによるラフマニノフの交響曲集から。
第3番に次いで93年に録音したのがこの第2番。
音質も良好で、廉価落ちを歓迎したい1枚。ヴォカリーズとスケルツォを併録している。
ラフマニノフの第2交響曲は不朽の名作だが、1908年にサンクトペテルスブルクで初演されて大成功を博していらいの人気曲でもあり、この地のオーケストラにとっても因縁浅からぬ曲ということになるだろう。
ヤンソンスの指揮はオーケストラの内面から深い響きを組みとって、音楽に深い陰影を与えている。
ロシア的なメランコリーに満ちたこの曲にこのアプローチの生きること!
実に生命力に溢れ、輝きもあり、適度な滋味に溢れた名演となっている。
第1楽章の多層的な響きは、過度に情感に流される事無く、軸をしっかりキープしており、安心して身をゆだねられる健全さに満ちている。
あまりにも有名な第3楽章のクラリネットのメロディも、適度な「ほろ酔い」で決してメロメロにはならず、音楽としての結びがきちんとしている。
結果として、一つの「名交響曲」を聴いたという感興が沸き起こるだろう。
なお、余白に収められた「ヴォカリーズ」はかつてキャスリーン・バトルがCMで歌って有名になった歌曲のオーケストラ編曲版。