ボリス・ゴドゥノフの「戴冠式の場」の壮麗にして威厳ある表現、ゲルギエフの演奏は胸のすく切れ味である。エフゲニ・オネーギンの「ポロネーズ」と「ワルツ」では、前者がいい。チャイコフスキーのこのオペラにかける意欲をすべて表現せんとするような気迫を感じる。オペラ全曲を幾度となく演奏してきた手練れのメンバーの自信がこうした演目にはいかんなく溢れている。
対して、「スラブ行進曲」と「魔法にかけられた湖」は期待値が高い分、もっと燃焼度が上がるのでは・・・との憾みもある。最後の「イタリア奇想曲」は、力感をもち、かつスカッとしたエンディングである。
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Art of Valery Gergiev
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