先にオーストラリアバレエ団(スワニルダ:リサ・パヴァーン)のDVDを購入してそのレベルの高さにびっくりしたので、他はどうかなと思って購入した。英国ロイヤルバレエ(コベントガーデン)のは映像が多いし、ポピュラーなバレエは殆どここのDVDで所有している。周知のようにコベントガーデンはオペラ・バレエ共に演劇的表現が秀でているのも購入動機の一つでもある。オーストラリアバレエとの比較が主になるが、他の批評にもあるように、当初、主役のスワニルダに出演予定の吉田都が怪我で急にキャンセルしたため、リャーン・ベンジャミンが急遽代役に立ったとのことで、出来映えには割り引く必要もあるだろう。全体的に良い点はオーストラリアバレエのそれより10年後(2000年)の収録なので、映像、音質は格段に良いし、舞台装置は簡略化されているが、衣装の彩が素晴らしい。オケの響き(楽器が良い?)、出来も優れている。踊りについては全くの素人なのだが、主役交代の影響なのか、パ・ド・ドゥ系がぎこちなく、特にフランツ役のアコスタの介添え位置が近すぎるのか、スワニルダが踊り難そうに見えたのは見当違いだろうか。ちょろい兄ちゃんがはまり役のアコスタは第3幕でのソロが流石なのに残念。第1幕のマズルカを始め、コールドのバラつきが気になった。スワニルダの友達6人は踊り、演技ともに安定感があって良かった。特筆するならば、コッペリウス役のルーク・ヘイドンが秀でており、やはり役者だな!オーストラリアのコッペリウスも評判が良いが、評者の好みからは、ヘイドンに軍配をあげる。また第3幕の「祈り」を踊るゼナイダ・ヤノウスキーはその容姿からも宗教画そのもののように存在感を醸し出していた。
やはり、コッペリアは話の面白さ、音楽の良さが相まってコベントガーデンには向いている作品だなという印象を持ち、楽しめた。