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ヘレヴェッヘとロイヤル・フランダース・フィルによるシューベルトの初期交響曲集。交響曲第１番、第３番、第４番『悲劇的』が２ＣＤに収められている。
演奏はとても勢いがあって力強く、ベートーヴェンの交響曲を聴いている様な気になってくる。ロイヤル・フランダース・フィルはモダン楽器のオーケストラだが、ピリオド奏法を基本にしているようだが、ヴィブラートは最小限に抑えられているし、ティンパニィは古楽器を使っているようだ。
オーケストラの音色がよく溶け合っていて、とても穏やかな音色を出している。古楽器特有のキツイ高音域がしないのがいい。
第1番ではスピードを上げたり、動と静のコントラストをつけたり、テンポを揺らしたりして迫力を出すようなことは一切せず、あくまで音に力をこめることや充実した響きを出すことで音楽を盛り上げている。正攻法な演奏だ。
第3番も第1番と同様、冒頭のトゥッティに思いっきり力がこもっている。第2，3楽章はリズムが弾んで、強いアクセントが効いているが、弦の音色がきつくないので力感はあっても刺々しさはない。第4楽章の畳み掛けるような表現が緊張感が高くてかっこよかった。
第4番は悲劇的というニックネームがあるように、短調のフレーズに焦燥感があり、何かに追われるような表現がスリリング。シューベルトの場合、それがロマン派のように続いていかず、すぐに明るい雰囲気に変わるのが特徴的だ。
第2楽章にはシューベルトらしい美しいメロディが出てきて心が和む。第4番になるとメロディの扱いもこなれてきて聴き応えが増している。第3楽章には、シューベルトにしては凝ったメロディや複雑なリズムが出てきて、ちょっと奇を衒ったような面白さがあった。
