ショスタコーヴィチ(1906-1975)

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CD

交響曲第4番 マリス・ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団

ショスタコーヴィチ(1906-1975)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
WPCS23147
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

【クラシック・マスターズ】
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番
ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団


ヤンソンスとバイエルン放送響だからこそ実現した第4番の美しき名演。複雑な音楽を細部にわたり表情豊かに、その魅力を伝えます。(Warner Classics)

ヨーロッパ屈指のオーケストラであるバイエルン放送交響楽団を、首席指揮者のヤンソンスが指揮し、セッション・レコーディングでじっくりと取り組んだ見事なアルバム。
 作品に内蔵された膨大な情報を、洗練された響きの中にものの見事に投影してみせたこのヴィルトゥオーゾな演奏からは、素朴な野蛮さや滑稽さ、下品さがあまり感じられないのが残念とはいえ、情報量の多さゆえ、弱音部の雄弁さやクライマックス構築の迫力には圧倒的なものがあり、ショスタコーヴィチの演奏が、ようやくマーラーやブルックナーなどと同じ地平で語られる時代が来たことを痛感させてくれます。

 まず驚くのはその音質の素晴らしさ。バイエルン放送響の多彩な表現力を余すところ無く捉えたそのサウンドは、いつものEMIサウンドとは大きく異なるもので、シャープでありながらヴォリューム感もたっぷりの各パートが鮮明に鳴り響くさまは、「ショスタコーヴィチのオケコン」とも言われるこの作品にはまさにピッタリ。
 アクロバティックなプレイが頻出するソロについても、質感が克明に再現されており、重要な役割を果たす木管楽器の多彩な音色、中でも作品のキー・パースンとなるファゴットの音には思わず唸らされます。
 バイエルンならではの柔軟かつ立体的で奥深い魅力を持つ弦楽セクションの倍音豊かな音質も完璧であり、随所でコントロールのゆき届いた第1級のサウンドを聴かせてくれます。
 もちろん、金管セクションも強力です。ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバそれぞれのサウンドがソロとしてトゥッティとして存在感たっぷりに示されており、鍵となるトロンボーンもセンスの良いソロをはじめまずは文句なしの仕上がりです。
 打楽器セクションもさすがです。中でも大活躍するティンパニについては、この作品でこれほど見事な演奏にお目にかかったことは無いというのが正直なところで、シュテファン・ロイターとマルクス・ローテンのリズム感抜群の名技に大感謝。録音が優秀なこともあってバスドラも随所で強烈な低音を効果的に響かせており、オーディオ的快感も十分。その他、グロッケンの音色の美しさも印象的です。

 こうした各パートをオン気味に捉え、楽器の質感再現にこだわったワイドレンジなレコーディングは、EMIのふだんの「全体的な」サウンドとは大きく異なるわけですが、それには録音場所がミュンヘン郊外のゲルメリングにあるホール、シュタットハレであることや、バイエルン放送との共同制作であることも関係しているのではないかと思われます。
 いずれにせよ、バイエルン放送のプロデューサーであるヴィルヘルム・マイスターと、同じくバイエルン放送のバランス・エンジニアのシュテファン・ブリーゲルのパーフェクトな職人芸には最大限の賛辞を呈しておきたいところです。

 優秀なオーケストラと録音スタッフに恵まれ、ヤンソンス&EMIのショスタコーヴィチ・シリーズで群を抜く出来栄えとなった今回の第4番ですが、最大の立役者はやはり、指揮者のヤンソンスでしょう。
 ショスタコーヴィチ自身が「自分の書いた最高傑作、第8番よりももっと良い出来」と語るこの作品は、彼の交響曲の中でも特異な経緯を持ついわくつきの作品。30歳の時に完成した画期的な交響曲であり、リハーサルの途中で作曲者みずから発表を中止。紆余曲折を経て実に25年後の1961年、〈雪解け〉といわれる状況の中、コンドラシンの指揮でようやく初演が行なわれたという代物です。その後の成功予定作(?)の第5番と較べると、この第4番は余りにも斬新かつ凶暴であり、当局に批判された前年のポポフの交響曲第1番や、自身の『ムツェンスク郡のマクベス夫人』の二の舞になることをショスタコーヴィチが恐れたのも無理からぬことだったのでしょう。
 確かに、この問題作から感じられる異様なまでの激しさ、力強さ、残虐さは比類のないものであり、それらに戦争や圧政の影を結びつけて考えるのも自然なことかもしれませんし、また、並存する諧謔的な表現についても、複雑なアイロニーの発露と考えれば納得も行きます。
 とはいえ、そうした時代背景への認識を抜きにしても、マーラーの7番や1番、マイスタージンガーの引用(パロディ)を経た大音響地獄の果てに、最後は美しく静かなコーダに収斂されてゆくという重層的な構図は、交響曲好きにはたまらないところです。

 ヤンソンス自身は、ショスタコーヴィチとマーラーの音楽について、「社会の一員として覚えていた疎外感と、個人的に置かれていた立場」という観点からも考察を加えており、一面的にダイナミズムを強調したりすることなく、作品情報を最大限引き出して聴衆の前に開示するというスタンスに立っています。
 その精巧で端正なフォルムと洗練された美しいフレージング、バランス感覚に秀でた見事な和声構築や、抜群の立体感を誇る対位法さばきは比類の無いもので、作品の随所に仕掛けられたパロディ的な要素と叙情的な要素を、凶暴な要素に従属させること無く、きわめて雄弁に扱うことによって、音楽の奥行きがぐんと深くなった印象を与えてくれるのです。(HMV)

【収録情報】
● ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調 op.43


 バイエルン放送交響楽団
 マリス・ヤンソンス(指揮)

 録音時期:2004年2月9-12日
 録音場所:ゲルメリング、シュタットハレ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

【クラシック・マスターズ】
大好評のクラシック・マスターズ続編が発売決定!
今回も、旧EMIクラシックスの国内盤、輸入盤の実績&人気上位アイテムの中から100タイトルセレクト。
名盤中の名盤を厳選し、世界一流のアーティスト陣によるラインナップ!
新規に海外から取り寄せたマスター音源より制作。
フロントカヴァーはオリジナル発売海外カヴァーデザインを多数使用。
声楽入り作品は歌詞対訳付(Warner Classics)

収録曲   

総合評価

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この曲はマーラーからの引用が多いのですね...

投稿日:2015/06/30 (火)

この曲はマーラーからの引用が多いのですね。それもストレートな引用ではなく大分捻ってあります。ヤンソンス氏の演奏は響きが明快なので引用部分がよく分かり最後まで一気に聴き通せます。聴きごたえがありました。

ルシータ さん | 東京都 | 不明

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某紙の月評を含め、毀誉褒貶の激しい演奏だ...

投稿日:2007/01/03 (水)

某紙の月評を含め、毀誉褒貶の激しい演奏だが、個人的には高く評価したい。何より、個々の楽器が絶妙のバランスで鳴っている点がいい。これはヤンソンスの耳のよさを証明している。テンポも良いテンポだ。加えてオーケストラの巧さは過去のどの盤をも凌駕している。録音もEMIの中では最優秀のレベルといえる。買って損はないと思うが・・・

よかろうもん さん | 福岡市 | 不明

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ヤンソンスのショスタコーヴィチは、ここで...

投稿日:2006/07/05 (水)

ヤンソンスのショスタコーヴィチは、ここでも好調である。歯切れのいいリズム感にのって、ショスタコ独特のアイロニーと閃きの音の絵巻を見事に展開している。バイエルン放送響のアンサンブルも秀逸である。録音も優秀。4番には名演も多いが、チョン・ミュンフン盤と並んで双璧をなす名盤と思う。ショスタコファンなら、ぜひとも聴いておくべき1枚といえよう。

カメトミー さん | 茨城県 守谷市 | 不明

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ショスタコーヴィチ(1906-1975)

「わたしの交響曲は墓碑である」という“証言”の中の言葉によって象徴されるショスタコーヴィチの音楽と生涯への価値観の変質は、今もって盛んな議論と研究、演奏解釈によって再認識過程の最中にあるとも言えますが、作品によってはすでに演奏年数も75年に及び、伝統と新たな解釈の対照がごく自然におこなわれてきているとも言えそうです。 圧政と戦争の象徴でもあったソビエト共産主義社会の中に生き、そして逝ったショスタコ

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