CD 輸入盤

『大地の歌』 カルロ・マリア・ジュリーニ&ベルリン・フィル、ブリギッテ・ファスベンダー、フランシスコ・アライサ(1984年ステレオ・ライヴ)

マーラー(1860-1911)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
SBT1465
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明

マーラー:『大地の歌』
ジュリーニ&ベルリン・フィル、ファスベンダー、アライサ


1984年2月に実施されたドイツグラモフォンのセッション録音の直前におこなわれたコンサートのライヴ録音。ホールもソリストもオーケストラも同じなので、セッション録音とどういった違いがあるか注目されるところです。

【演奏時間】
コンサート日程は2月14日と15日、セッション録音日程は2月15日から17日と、ほぼ同じ時期、同じホールにも関わらず、演奏時間がけっこう違っており、特に第2楽章と第4楽章、第6楽章の女声楽章での差が顕著となっているのがポイント(なお、トラック値には楽曲と余白が含まれるので、多くの場合、実測値よりも長めになっています)。
 08:28+08:53+03:25+07:06+04:35+28:50=61:17(ライヴ/トラック値)
 08:31+09:43+03:17+07:33+04:16+30:21=63:41(セッション/実測値)
 セッション録音と同じ時期、同じホールのライヴ録音でも、特に冬場などは客席の吸音要素が強まることもあってか、残響の減少の影響により、多くの録音で実演の方が速めのテンポになっていますが、今回は、より抒情的な女声楽章で差が顕著ということなので、そうした物理的な違いだけが要因の差ということでもないようなのが興味深いところです。

【大地の歌】
壮大壮麗な『千人の交響曲』を完成させたマーラーが次に向かったのは、前作とはまったく異なる「異国趣味」の世界でした。
 きっかけは友人から贈られた一冊の詩集『中国の笛』。これはハンス・ベートゲが、ハンス・ハイルマンによるドイツ語訳『中国叙情詩集』から選んだ詩を編みなおしたドイツ語詩集で、そのハイルマンの『中国叙情詩集』そのものも、フランス語や英語に訳された漢詩が元ネタになっているものもあるという具合でした。
 さらに、ベートゲはそれらの漢詩の一部の「情景」を「人間」に置き換えるなどヨーロッパ的なわかりやすいドラマ性を持ち込んだりし、さらにマーラーはそういった複数の詩をつないでしまったり、最後には自分のテキストを追加したりした結果、元来の包括的な陰陽二元論的世界は、西欧的でシンプルな二元論の世界へと読み替えられ、原詩の世界とは遠くかけ離れてしまった面もあるようです。
 もっとも、当時の欧州で流行をみせていたシノワズリーやジャポニズムといったオリエンタリズムそのものが、概して対象とした文化の表層のみを模倣し、それをヨーロッパ的な嗜好で換骨奪胎したうえで受容し、楽しんでいたものであったことを考えれば、『大地の歌』に取り込まれた「中国の詩」「中国風な詩」「中国風な旋律やリズム」といった諸要素も、様々な「引用」をおこなってきたマーラーにとっては、作品創造のいちプロセスに過ぎなかったのかもしれません。
 しかし、実際のところ、この作品から感じられる東洋・西洋ないまぜになった独特の雰囲気、日常性の中に穏やかな達観が織り込まれたテキストの魅力にはやはり抗いがたいものがあり、マーラーとしてもその魅力をなんとか自身の音楽に盛り込みたかったのではないでしょうか。
 ともかく、この歌曲とも交響曲ともつかないマーラーの『大地の歌』が書かれたとき、まだマーラーは40代であり、メトロポリタン・オペラにも招かれ、翌年にはニューヨーク・フィルの指揮者になることも決まっており、新天地への期待に胸がふくらんでいる時期でもあったのです。(HMV)

【収録情報】
・マーラー:『大地の歌』

 ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
 フランシスコ・アライサ(テノール)
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)

 録音時期:1984年2月
 録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
 録音方式:ステレオ(ライヴ)

ユーザーレビュー

総合評価

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学生の頃この演奏をFM放送でエアチェックし...

投稿日:2021/02/25 (木)

学生の頃この演奏をFM放送でエアチェックして、カセットテープで何度も聴いていた。 ほどなくしてDGから同じメンバーで行われたセッション録音がリリースされた。 そのCDを購入してからは、もっぱらCDばかりを聴いてきたが、今このライヴ音源を聴くと当時カセットテープで聴いていた頃のことを思い出す。 ライヴの方が若干粗めの演奏だが、これはこれで良い。

マンボウ さん | 兵庫県 | 不明

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ジュリーニは、録音に際して徹底した完成度...

投稿日:2011/07/28 (木)

ジュリーニは、録音に際して徹底した完成度を追及して臨んだ完全主義者でもあったことから、大指揮者と称される割には録音の点数、そしてレパートリーも、必ずしも数多いとは言い難いと言える。マーラーの交響曲についても、全曲を演奏しているわけではなく、遺された録音も第1番、第9番、そして「大地の歌」に限られているところだ。このうち、「大地の歌」については、これまでのところベルリン・フィルとのスタジオ録音(1984年)とウィーン・フィルとのライヴ録音(1987年)の2種が発売されていた。本盤の演奏は、ベルリン・フィルとのライヴ録音であるが、これは前述のスタジオ録音の直前のものである。同じベルリン・フィルであることや、独唱陣も同一。そして同じベルリン・フィルハーモニーホールでの録音ということであり、演奏内容も同様かというと、必ずしもそうとは言い切れないところである。確かに、ジュリーニの基本的なアプローチには変更はないと思われるが、スタジオ録音と比較すると本演奏は全体で2分半ほど早くなっており、全体で約60分程度の演奏時間であることに鑑みれば、これはかなりの違いと言えるのではないだろうか。ジュリーニの本演奏におけるアプローチは、例によってきわめて格調が高いものであり、そしてイタリア人指揮者ならではの豊かな歌謡性と気品のある優美な極上のカンタービレに満ち溢れた指揮に、堅固な造型と重厚さを兼ね備えたものであると言える。そして、前述のスタジオ録音と比較して、本演奏の方は、ライヴ録音ならではの熱気が演奏全体を更に強靭な気迫のこもったものとしており、その圧倒的な生命力に満ち溢れた迫力においてはスタジオ録音を大きく凌駕していると言える。独唱陣も、メゾ・ソプラノのブリギッテ・ファスベンダー、テノールのフランシスコ・アライサともに最高の歌唱を披露しているのも素晴らしい。いずれにしても、本演奏はジュリーニの卓越した指揮芸術を堪能できる至高の名演と高く評価したい。なお、1987年のウィーン・フィル盤との優劣の比較は困難を極めるところであり、ウィーン・フィルならではの美演に鑑みればウィーン・フィル盤の方に軍配を上げたくなるが、当該盤は低音の過度のカットで悪名高いオルフェオレーベルであり、音質面を考慮に入れると両者同格の名演であると考えるところだ。そして、本盤の音質については、今から30年近く前のライヴ録音とは思えないような鮮明な高音質であると評価したい。

つよしくん さん | 東京都 | 不明

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セッション録音(この公演の2日後に録音終...

投稿日:2011/07/25 (月)

セッション録音(この公演の2日後に録音終了)のアナログ盤視聴時は、多少無機的な冷たい印象を持ってあまり好きではなかった。 しかし、ここでのジュリーニ先生とベルリンフィルは、ライブの熱気も手伝って適度な緩急をつけた有機的な音作りを行っているようだ。 デジタル黎明期(セッション録音)とアナログ成熟期(ライブ録音)の違いなのかこちらの方が演奏も、音質も数段上だと感じる。 1曲目はベルリンフィルの美しくも劇的な演奏にアライサ(テノール)の歌声が力強く物語の世界へと誘ってくれる。 2曲目の弦楽の厳かな出だしが透明な空気感を醸し出し、ファスベンダー(アルト)の透き通った声との調和が天上の美を表現する。 3曲目は東洋的な楽しい調子で始まり、酒を酌み交わす姿が眼前に浮かぶ。 4曲目、5曲目と明るい曲調が続くがラストの「告別」の暗いトーンが際立っている。 ファスベンダーは次第に熱を帯びて行き、静かで美しいラストを迎える。 これにはワルター、フェリアー、ウィーンフィルの名盤があるが、勝るとも劣らぬ内容だ。 音質はトーン、バランス共に優れていて透明感がありあたかもコンサートホールで聴くような充実感がある。 ヘッドホンで視聴すると先生の唸り声も楽しめる。

独居人 さん | 東京都 | 不明

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人物・団体紹介

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マーラー(1860-1911)

1860年:オーストリア領ボヘミア、イーグラウ近郊のカリシュト村で、グスタフ・マーラー誕生。 1875年:ウィーン楽友協会音楽院に入学。 1877年:ウィーン大学にてアントン・ブルックナーの対位法の講義を受講。 1883年:カッセル王立劇場の副指揮者に就任。 1885年:『さすらう若人の歌』を完成。プラハのドイツ劇場の

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