SACD 輸入盤

交響曲第3番『ワーグナー』 ケント・ナガノ&ベルリン・ドイツ響

ブルックナー (1824-1896)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
HMC801817
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
SACD
その他
:
ハイブリッド,輸入盤

商品説明

ブルックナーの第3はやはり第1稿!?
ケント・ナガノ&ベルリン・ドイツ響による『ワーグナー交響曲』

ケント・ナガノのフランス・ハルモニア・ムンディからの第3弾はなんとブルックナーの交響曲。とはいえ、第1弾がベートーヴェンの『オリーヴ山のキリスト』、第2弾がシェーンベルクの『ヤコブの梯子』というリリースだった彼だけに、今回も選ばれたのはマニアに大受けの第3番第1稿という凝ったもので、原石の魅力ともいうべき巨大で錯綜とした音楽の魅力を隅々まできちんと解き明かしてくれているのが嬉しいところ。

第1楽章
第2稿、第3稿に較べて100小節近く長い第1稿の第1楽章には、この曲の渾名『ワーグナー』の由来となるワーグナー作品からの明確な引用が含まれているのが特徴。
 16分41秒からの『ワルキューレ』の“眠りの動機”が一番目立つもので、この音楽のあとに冒頭部分が再現される箇所にはなんとも言えない魅力があります。
 この楽章でのケント・ナガノの演奏はゆったりとしたスケールの大きなもので、冒頭のサウンドが深い呼吸で次第に重層的になってゆくあたりなど、雄大な山脈を思わせる音楽が実に魅力的。ブルックナー好きをうならせること請け合いです。
 第2主題部ではナガノらしい繊細なアプローチをみせており、非常に美しい弦の巨大な質量で迫る第1主題部と続く第3主題部のあいだにあって、美しい谷間を形成しているかのよう。
 第3主題部でもケント・ナガノのアプローチは雄大志向ですが。後半の諸動機の扱いに関しては機敏な運動性をみせており、続く展開部冒頭の幽玄な雰囲気とのコントラストも鮮やかです。
 その展開部は、第1稿では素材はともかく、ブロック的な様相が強く示されているのが特徴で、基本テンポを遅めにとったケント・ナガノのアプローチが、そうした構造の魅力を実によく伝えています。
 第1主題強奏部分(13分4秒〜)でのスケールの大きさなどやはり圧倒的ですし、また、前述した『ワルキューレ』の引用なども、こうした巨大なブロックの塊の中にあると実に神秘的に響き渡り、素晴らしい効果につながっていると感じられます。

第2楽章
第1楽章同様、第1稿では、ワーグナーからの引用が削除されずに残っているため、はじめて聴くとけっこう驚かされる部分があります。
 具体的には、12分32秒からの第1主題変奏ブロックに《タンホイザー》序曲の巡礼主題のイメージが投影されているという部分と、コーダ15分52秒からの部分に、第1楽章と同じワルキューレの動機が用いられている部分の2箇所ということになります。
 ケント・ナガノの演奏は、第1楽章同様、ゆったりしたテンポが採られたもので、冒頭、第1主題から荘厳な聖歌さながらの進行が実に魅力的です。そこでの落ち着きはらった表情の美しさは、この第3交響曲が後年の第9交響曲と数多くの素材上の共通点を持つことをよく判らせてくれる説得力に満ちており、あらためて作品の真価を知らしめてくれるのが何よりも嬉しいところです。
 第2稿第3稿との大きな違いでもある構成上の相違点、つまり、ベートーヴェンの第9にならったと思われる並列的な変奏スタイルもブルックナー好きにはたまらないところで、第1主題の美しい変奏がたっぷり聴けるのはやはり快感です。

第3楽章
第1稿スケルツォ楽章の大きな特徴である主部主題の構成単位の不規則性は、後の版では規則的なものに改められ、流れが良くなるぶん、野卑なまでの荒々しさという要素が減退していたのはよく知られているところです。
 ケント・ナガノの演奏では、ドイツのオケだけにそうした野趣に富む雰囲気がよくあらわされており、管楽器だけを際立たせること無くトゥッティのダイナミックな迫力で聴き手に迫ります。これでこそトリオののどかなレントラーも一層際立つといえるのではないでしょうか。
 第1楽章と第2楽章の重さがここで一気に気分転換されるわけで、その意味でもケント・ナガノの快活なテンポは大成功です。

第4楽章
第1稿とほかの稿との差異が特に目立つ楽章。ソナタ形式の構造概念に比較的忠実な第1稿は、3つのヴァージョンの中で最も規模が大きく、主題の再現や回想などもきちんとおこなわれ、なおかつ休止が頻繁なために、独特の激しく闘争的な雰囲気が漂うのが特徴。
 未整理な混乱という見方もありますが、ベートーヴェンの第9よろしく、素材回顧を入念におこないながら、古典的な様式セオリーに取り組む姿は、やはり魅力的というべきでしょう。
 ケント・ナガノの演奏も、作品にふさわしい猛々しさをストレートに示したもので、旺盛な活力をみなぎらせて圧倒的なコーダへと突き進む姿が、多くのブルックナー・ファンの共感を呼ぶこと請け合いです。
 もちろん、叙情面への配慮もおこたりなく、ピツィカートの伴奏音型と、滑らかに処理された美旋律が立体的に絡み合う第2主題部は、特に第1稿での規模が非常に大きなこともあって聴きごたえがあります。

【収録情報】
・ブルックナー:交響曲第3番ニ短調『ワーグナー』
 ベルリン・ドイツ交響楽団
 ケント・ナガノ(指揮)

 録音時期:2003年3月
 録音場所:ベルリン
 録音方式:デジタル(セッション)

収録曲   

  • 01. Symphony no 3 in D minor, WAB 103
  • 02. Symphony no 3 in D minor, WAB 103
  • 03. Symphony no 3 in D minor, WAB 103
  • 04. Symphony no 3 in D minor, WAB 103

総合評価

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ナガノのブルは4番と8番を持っているので...

投稿日:2014/08/27 (水)

ナガノのブルは4番と8番を持っているのでこの3番も大いに期待を持って購入した。しかし、どこか、かゆいところに手が届きそうで届かない、といった感じがする。4番・8番では大河の流れといった感じだったが、この3番はややあっさりしすぎかな?もっと悠々とした演奏であってほしかった。個人的には、ヤング・ィンバル以上ティントナー以下のランクとさせていただきましょう。

mid-massa さん | 三重県 | 不明

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ナガノはフィナーレで頂点を築くように設計...

投稿日:2010/09/11 (土)

ナガノはフィナーレで頂点を築くように設計したと思う。最初は少し物足りなく感じるが、段々と盛り上がっていくのが見事。少なくともインバルやティントナーよりもオケ・録音も含め遥かに素晴らしい。

影の王子 さん | 大阪府 | 不明

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The best performance of the original ver...

投稿日:2007/08/03 (金)

The best performance of the original version of the symphony.

samuel さん | California | 不明

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人物・団体紹介

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ブルックナー (1824-1896)

1824年:オーストリアのアンスフェルデンでヨーゼフ・アントン・ブルックナー誕生。 1845年:聖フローリアン修道院の助教師に就任。 1856年:リンツ聖堂及び教区教会のオルガン奏者に就任。 1866年:交響曲第1番完成。 1868年:音楽大学の教授に就任。 1869年:交響曲第0番完成。 1872年:交響曲第2番完成。 1873年

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