プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番は、第1楽章は抒情的でありながら不気味な雰囲気のある奇妙な曲。ピアノのフレーズもポロンポロンとテクニックを見せるわけでもなく、静かに進行していく。そうしているうちにクライマックスを迎えるが、そこは凄い迫力だった。
第2楽章は速いテンポでスリリング。ここはピアノのテクニックの見せ所。ラナが高いテンションを維持しながらも見事な演奏を聴かせた。
第3楽章は諧謔味が利いているというか、ゴツゴツしてグロテスクな音楽。ユーモラスな所もあって面白い。
第4楽章は、いきなりオーケストラの絶叫で始まり、ピアノのアヴァンギャルドなフレーズが弾ける。静かになった中間部では奇妙な味わいがありながらも、しっとりとした美しいメロディも聴かれ、抒情的な雰囲気が味わえる。ロマンチックな味わいを残しながら、グロテスクに盛り上がっていき、大胆なオーケストレーションが炸裂する。盛り上げるだけ盛り上げて、最後は唐突に終わった。
チャイコフスキーは、ピアノ協奏曲としては超有名曲なので、ラナの真価が問われる曲だろう。第1楽章冒頭は期待どおりの豪華でスケールの大きい演奏。ここが貧相だと話にならない。最新録音で音がいいのも嬉しい。ヴォリュームをあげて演奏の豪快さを十二分に堪能できる。
静かな場面ではピアノ、オーケストラともに思い切って音量を落として、ロマンチックに沈んでいく思いを表現している。雰囲気たっぷりで、チャイコフスキーの美しいメロディに浸れる。 ここは本当に密やかで神秘的ですらあった。
パッパーノが指揮する 聖チェチーリア国立音楽院管も、ピアノに負けず劣らず劇的でスケールが大きい。激しいところでは情熱的に盛り上がり、静かな場面では雰囲気豊かに音を奏でる。とても語り口が上手くて、チャイコフスキーの音楽に合っている。
第2楽章もとても繊細で、表情豊かなピアノとオーケストラがメルヘンチックな世界を描き出している。クリスマスのような清らかな光景が眼前に現れるようだ。
第3楽章は音楽が生き生きと弾んでいる。パッパーノが凄い迫力でオーケストラを煽り立て、世界が爆発するかのような盛り上がりを見せる。ラナも負けじと冴えたテクニックを披露して一歩も弾かない。最後は手に汗握る高揚感で圧倒的に盛り上げて見せた。