最近私は、ブラームスをあまり聴かなくなっていた。これといった理由は無かったけど、聴くときは、「よしっ、ブラームスを聴くぞ、」という決意が必要だった。
でも、ひょんなきっかけから、ザンデルリンク、SKDのブラームスを聴いて感激した。決意などしなくても、あっという間にブラームスの世界に引き込まれてしまう。自然にブラームスがこちらへやって来るような感じだ。
その原因は、ほとんどのレビュアーの方がおっしゃっているように、シュターツカペレ・ドレスデンの素晴らしいオーケストラサウンドに尽きるのではないかと思う。柔らかい管楽器が内声部をくっきりと浮かび上がらせ、落ち着いた豊かな低音部の上に、しなやかで、絹のような弦が歌う。その豊穣な魅力を引き出したザンデルリンクの指揮が素晴らしいのだと思う。これは、1番から4番まで、すべての交響曲に言えると思う。カラヤンのサウンドの豪華さとはまた違った、それぞれのパートにがっちり芯のある豪華さだと思う。
これは、単に、楽譜に忠実で、誇張が無いというだけの消極的なスタンダードな演奏ではなく、正当なブラームスの魅力を目いっぱい引き出した、真にスタンダードな演奏ではないだろうか。
とっくに聴いておくべき演奏だったと少し後悔している。