ノーベル賞コンサート2008 ガーディナー&ロイヤル・ストックホルム・フィル モーツァルト「大ミサ」&ドヴォルザーク第7番 物理学賞を受賞した益川敏英氏と小林誠氏、そして化学賞の下村脩氏が出席した2008年のノーベル賞授与式。衛星中継も行なわれ、大きく報じられたのは記憶に新しいところ。これに先立つ12月8日、ガーディナーの指揮でお膝元ロイヤル・ストックホルム・フィルによる記念コンサートが開かれ、物理学賞の日本のふたりを含むノーベル賞受賞の決まった学者らが招かれました。その模様を収めたソフトがこのたびmediciartsよりリリースとなります。 はじめに、スウェーデンのカール16世グスタフ国王ら王室の入場。これに合わせたオケ伴奏による会場の国王歌斉唱に引きつづいて演奏されたのが、ドヴォルザークの第7交響曲。これはまさしく熱演と呼ぶにふさわしい内容。映像から確認できますが,モダンのオケに対向配置を採用したガーディナーは終始起伏の大きな表現でオケを駆り立てます。 これとはムードも一転して、プログラムの後半はモーツァルトの「大ミサ」。こちらは手兵モンテヴェルディ合唱団と、やはり精鋭として名高いエリク・エリクソン室内合唱団との合同編成による声楽パートがこの上ない充実ぶり。ソリストではまた、パーションの可憐な歌唱も魅力となっています。ガーディナーによる「大ミサ」の映像ソフトでは、ピリオド楽器による手兵イングリッシュ・バロック・ソロイスツと、今回同様にモンテヴェルディ合唱団を起用したライヴ(1991年)もありましたが、さすがはガーディナーというべきでしょうか。経験に裏付けられた安定感と研ぎ澄まされた美の表現がけた違いのすばらしさというほかありません。音質・画像ともきわめて良好。[キングインターナショナル]