パリ・オペラ座の優れたダンサーたちが豪華絢爛な舞台装置と衣装で、迫力あるダンスを繰り広げる。パリ・オペラ座好きにはたまらない作品であろう。
私がこのDVDを購入した一番の理由は、何よりも主役の二人(ルディエール/ルグリ)のダンスが楽しめることであり、期待にたがわず芸術性の極めて高い踊りを披露してくれている。特にルディエールの少女のもつ感受性やロミオの死に直面した際の絶望感を表現しきるダンスには、彼女の芸術家としての力量を感じさせる。ルグリとの相性もよく、全体的に優れた舞台と誰もが思うに違いない。
がしかし、私は個人的にヌレエフの振付が好きになれない。はっきり言って嫌いである。彼は自分が踊れたせいもあるのだろうが、余計なステップや技術を盛り込みすぎるのだ。多くのダンサーがヌレエフの振付はチャレンジだと言っていて、踊る側にとっては相当の技量を必要とされる振付なのだろうが、観る側にとっても非常に疲れる作品なのである。ステップが細かく、複雑であるがゆえに緊張が高まるが余裕が感じられないし、またちっとも美しくないのである。音楽との調和が取れていないと感じる場面も多々ある。
ダンサーと舞台そのものは星5つなのだが、振付が星1つ、総合的に星3つとなってしまった。