昨年ある携帯電話の会社の「予想外」のCMに使われちょっとした話題になった作品である。
ちなみにCMで使われたのは第2組曲の1曲目。
チェリストとして有名なロストロポービッチがワシントンのナショナルシンフォニーを1983年に振ったのがこの作品だ。なぜロシアの作品なのにアメリカのオケ?と首を傾げる向きもあろうが、これがなかなかの名演である。
まず指揮者のロストロポービッチは作曲者のプロコフィエフとはソビエト時代の師弟関係にあり、一時期は一緒に住んでいたこともあるほど、親子のような仲なのだ。そのように作曲者の好みや感情を知り尽くしているロストロポービッチによる解釈が的はずれであるはずもなく、プロコフィエフ特有の色彩感を上手に表現している。
そしてアメリカのオーケストラである。ナショナルシンフォニーと言えば、全米のトップ10に入るようなオケではないが、しかしアメリカのオーケストラ界の奥深さを感じさせる演奏を聴かせてくれる。
プロコフィエフのような機能的な作品を演奏することにかけてアメリカのオケの右に出る者はいない。
特に金管楽器の充実ぶりはブラス大国の面目躍如か。
クラシックは名前だけではない、ということを実感させてくれる一枚である。